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「コードを書き続けるか、組織を束ねる立場になるか」開発が大好きだったエンジニアが出した答え

公開

株式会社メルペイのVPoEを務める木村秀夫さん。インターネットの黎明期にエンジニアとしてのキャリアをスタートし、独立企業や大手通信会社を経て株式会社ディー・エヌ・エーで執行役員を務めてきました。

2018年にメルペイに入社後は、VPoEとして日々メンバーと向き合い、組織づくりに奔走しています。マネジメントの魅力を、「一人では出せない大きなインパクトを与えられること」と語る木村さん。しかし、かつてはマネジメントに苦手意識があったといいます。どのようにして、現在のキャリアにたどり着いたのでしょうか。

プロフィール| 木村 秀夫

ISPでエンジニアとしてのキャリアをスタートさせ、独立起業や通信キャリア等での開発業務を経て、2009年株式会社ディー・エヌ・エーに入社。Mobageオープンプラットフォームの立ち上げ、グローバル展開、Mobage全体のマネジメントに従事。2013年に執行役員に就任。その後もオートモーティブ新規事業立ち上げ、システム&デザイン本部長を経て、2018年5月、株式会社メルペイ執行役員 VP of Engineering に就任。

憧れのインターネットの世界。ドラスティックな変化を肌で感じる

──木村さんはいつ頃からエンジニアを目指していたんですか?

中学生ぐらいですね。ちょうどコンピュータがネットワークに繋がり始めた時期。当時はまだパソコン通信と呼ばれていたローカルなネットワークでしたが、時間や場所に関係なく、世界中のあらゆる知識がリアルタイムで手に入ることにワクワクしていました。いつかネットワークの裏側を支える仕事がしたいと思っていたんです。

大学生になってからは、勉強よりも早く実務経験を積みたくて、インターネットサービスプロバイダでアルバイトを始めました。結果的にアルバイトが楽しすぎて、卒業をせず、正社員として働き始めるのですが(笑)。

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──アルバイト先ではどのような業務を担当されたのですか?

バックエンドエンジニアとしてインターネット接続用システムのメンテナンスをしていました。メインの業務とは別に、業務用のシステムも自主的に開発していましたね。

当時はインターネット・バブルと言われていた時期。インターネット回線のスピードがどんどん高速化したり、文字だけでなく映像の送受信ができるようになったり。インターネットのドラスティックな成長を感じられました。

起業や組織マネジメントを経て気づいた、プレイヤーとして活躍したい気持ち

—その後、起業をされていますよね。きっかけは何だったのでしょう?

エンジニアとして力がつくにつれ「自分の力で事業を生み出したい」という気持ちが大きくなったんです。社内の先輩エンジニアにも同じ想いを抱えた人がいて、彼と独立を決めました。

—どのような事業を展開していたのですか?

企業システムの受託開発から始まり、自社サービスとしてECサイトの運営もしていました。事業も順調に成長し、社員も4年で2人から20人ほど増えました。ただ、途中で自分に起業は向いてないのではと気づいてしまったんです。

—それはなぜでしょうか?

私は経営や組織づくりについて考えるよりも、新たな技術に挑戦するほうが好きだと気づきました。

自社サービスの開発はそこまで高度な技術が求められるわけではありませんでした。いちプレイヤーとして、もっと技術的な挑戦をしたい気持ちが日に日に大きくなりましたね。

その頃、偶然大手通信会社の子会社が「新規サービスのエンジニアを探している」と聞いたんです。ちょうど会社の事業も安定して、私以外のメンバーに任せられる状況。今しかないと、思いきって辞任を決め、その会社にジョインしました。

—転職先では技術に特化した仕事を?

最初は新規サービスの開発チームに配属されました。今でいうコンテナ技術を使った、ホスティングシステムの開発です。当時、技術的には最先端で、やりがいがありましたね。やはり私はコードを書くのが好きだと感じました。

ただ、事業自体は苦戦していました。数カ月後には事業規模の縮小が決まり、開発組織も私を含め複数人が異動することになりました。

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—異動後はどのような仕事をしていたんですか?

法人向けのシステム部門にマネージャーとして配属され、エンジニア組織のマネジメントを任されました。が、これが驚くほど向いていなかった(笑)。

—なぜ向いていないと思ったのですか?

まず、システム部門の仕事は親会社へのシステム導入やリプレイスの提案が中心で、技術的な面白さを見出しづらかったんです。既存のものを改善するより、自分がゼロから作り上げたプロダクトで人に喜びを届けたいと感じていました。

何よりマネジメントが辛かったですね。チームで良いものをつくるより、自分の手で開発がしたいと思ってしまう。メンバーに対しても的確にサポートできませんでした。振り返ると申し訳なかったなと感じます。

マネジメント嫌いが一転。チームで大きなインパクトを出す喜びを知る

—その状態からどのように脱していったのでしょう?

プレイヤーとして新規サービスの開発に携われる環境を探しました。ちょうど知り合いからディー・エヌ・エーの新規立ち上げに関わる仕事を紹介してもらい、転職を決めました。エンターテインメントのBtoC向けプロダクトは初めて挑戦する領域。技術的にも細かいトランザクションが多く、とてもワクワクしましたね。

—ディー・エヌ・エーでは、どのような仕事を?

入社1カ月目で、モバゲーのオープンプラットフォームの立ち上げを任されました。約半年後に控えたローンチに向けて開発を続け、翌年にはサンフランシスコや中国など、グローバルにも展開。最初は4人だったメンバーが、20人、50人と増えていきました。

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人が増えるにつれて、ビジネスサイドとの窓口に立ったり、メンバーに指示を出したり、プレイングマネージャーとして動くようになりました。

そして、上司から「マネージャー職に専念しないか?」と打診を受けたんです。

—マネジメントに抵抗があって転職したのに…。葛藤はありませんでしたか?

かなり迷いましたね。これまで通り、プレイヤーとマネージャーを行き来できる状態がベストだと思っていたので、一度目は考えさせてほしいと伝えました。

ただ、その後私がビジネスサイドとの連携でミスをして、障害を出してしまったんです。マネージャーもプレイヤーも両方やりきろうとした結果、中途半端になってしまい、ミスを引き起こしてしまったのかもしれないと反省しました。そろそろどちらかに専念しないとな、と。すぐにマネージャー職に専念したいと上司に伝えました。

—マネージャーを務めていかがでしたか?

それが驚くほど楽しかったです。立ち上げ当初から携わり、チームに愛着を感じていたのも大きかったのでしょうね。自分が手を動かすのではなく、チームメンバーが力を発揮できるような環境を整えることに集中できました。

メンバーの頑張りもあり、オープンプラットフォームは多くの人に受け入れられ、影響力のあるディベロッパーも利用してくれました。売り上げも右肩上がりでした。

チームの成長が事業成長につながり、喜んでくれる人たちが増えていく。チームの力を結集させて、より大きなインパクトを生み出す喜びを知りました。前職でマネジメントが嫌だと思っていたけれど、一人では成し遂げられないゴールに辿り着けるなら、楽しんで取り組めるのだなと気づきましたね。

次世代のインフラを支えたいと、メルペイへ

—“マネジメント嫌い”が薄れていったのですね。その後、なぜ転職を?

モバゲーのチームを率いた後、自動運転技術を使ったモビリティサービス事業に携わったのがきっかけでした。

過疎地でのニーズが大きい事業だったのですが、何度も地方に足を運び、実証実験や地域の人たちへのヒアリングを重ねるうちに、自分が手がけるサービスで社会を変えるやりがいを感じました。思えば私のキャリアの始まりも、インターネットという次世代のスタンダードとなる技術に携われる仕事でした。この気持ちを思い出し、技術の力で社会的なインパクトを生み出すプロダクトを開発したいと考えたんです。

その頃、メルカリが新しくフィンテックの会社を立ち上げたとを知りました。ちょうど、エンジニア組織づくりを担うVPoEを探している、と。以前から、フィンテックは間違いなく次世代の基盤になる技術だと思っていたので、参画を決めました。

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—メルペイではマネジメントを担当されたのですか?

そうですね。プロダクトもローンチされておらず、専任のマネージャーがいない状況だったので、組織体制の整理から着手しました。

ローンチ後は、事業拡大に対応するためのチーム体制構築に奔走しました。時にはメンバーの意思に反したアサインをしなければいけないこともあり...。メンバーの不満が募り、組織のエンゲージメントスコアも下がりました。

—ディー・エヌ・エーの頃のように「楽しい」ばかりではなかったのですね。どのように解決をしていったのですか?

シンプルなことですが「説明を尽くす」「Willに反した異動を反省しみんなの前で謝る」を心がけました。同じ過ちを繰り返さないように、とにかくオープンな場で振り返るようにしました。

2019年末にはアドベントカレンダーで反省文(笑)を書き、社内外に公開しています。反省も多いですが、メンバーと日々全力で向き合える今の仕事は非常にやりがいがあります。現在は少しずつエンゲージメントスコアも持ち直してきましたね。今後も素直に組織と向き合い続けていきたいです。

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若手のエンジニアには遠回りでも「Will」を探してほしい

—周囲とのコミュニケーションをとても大切にしているんですね。1on1など、一人ひとりのエンジニアと向き合う上で何を意識していますか?

エンジニアのやりたいことやなりたい姿、「Will」を見つけて、尊重するよう心がけています。Willと事業の方向性が重なっていないと、パフォーマンスを発揮できないと思うからです。私自身、自分のWillに沿った仕事をしていたとき、最も大きな成果を出せたと感じています。

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—そもそも「自分のWilがわからない」という悩みを抱えるエンジニアもいると思います。Willを見つけるためには何が必要でしょうか?

たとえ遠回りでも、幅広い経験を積むことです。経験してみないと自分が何をしたいのか、どうなりたいのかははわかりません。私も起業をしてみて、開発が好きだと気づきました。マネジメントが嫌いだと思っていましたが、今は大きなやりがいを見出しています。全ての経験が自分の財産になっています。

それにエンジニアは引き出しが多いほど強い。「失敗しても大丈夫」と思って挑戦してほしいですね。

—ありがとうございました!

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