kiitokがハイクラスエンジニアにオススメしたい企業を紹介する「kiitokレビュー」
今回は、SaaS間の連携を自動化するiPaaSを展開する「Anyflow」を紹介します。
Zapierなどの海外プロダクトがありますが、国内のSaaSをカバーしきれず、国内ユーザーからすると不十分な側面がありました。そこでAnyflowは、SmartHRやfreee、クラウドサインなどとの連携が可能なiPaaSとしてポジションをとっています。
SaaSが伸びれば、それをささえるiPaaSも伸びることが必然なので、プロダクトとしての成長性に非常に期待できる事業です。
実際に、プロダクトもスピード感持って絶えずアップデートを繰り返しており、開発を通した貢献をプロダクトの成功としてダイレクトに感じられるフェーズです。
では、Anyflowの事業と開発体制、開発文化、ポジションや成長機会について解説していきます。
今回お話を伺ったのは

Anyflow株式会社
代表取締役CEO
坂本 蓮さん
1992年山梨県生まれ。中学生の時からプログラミングを始め、経済産業省主催のU-20/U-22プログラミングコンテストの受賞、KDDI∞Laboの採択、シリコンバレーでのインターンを経験。大学卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。サーバーサイドエンジニアとして、API基盤開発に従事するも1年で退職。その後Anyflow株式会社を創業。数多くのピボットを繰り返し今に至る
今回インタビューに答えて頂いたのはCEOの坂本さんです。
インタビューはkiitok運営の株式会社トラックレコードCTOの上原が担当しました。
まずは会社とプロダクトについて紹介
会社の歴史とプロダクト、実績や今後の展開などについて紹介していきます。
2016年創業から幾度ものピボットを経て現事業へ

2016年に創業したAnyflow。創業からの2年で20以上のプロダクトを開発し、2018年から現事業にフォーカス。iPaaS領域にフォーカスする意味からも社名も2019年に変更しました。
サービスロウンチから半年もたたず2億円を超える資金調達を実施し、現在はPMFを目指しているステータスです。
SaaSの連携をNo-Codeで実現する
Anyflowができることは、この動画でわかりやすく紹介されています。
複数のシステムやSaaSを利用することで、SaaS間のデータ連携は不可欠になるわけですが、これまでは手動で対応するか、社内エンジニアのリソース活用が必要でした。そのような課題に対して、だれでも簡単に連携できる仕組みを提供しているのがiPaaSです。
ここ最近、国内のスタートアップ企業なども利用する企業を聞くようになってきたサービスとして米国のiPaaS「Zapier」があります。一方で、Zapierはあくまで中小企業向けに作られており、日本の企業が扱うには難しい点がいくつかありました。AnyflowはそのZapierをより日本の企業でも扱いやすくしたものです。
具体的には、国内SaaSとの連携や、日本語UIやサポート体制、日本企業の業務プロセスを意識したレシピの提供、非エンジニア職でも使いこなせるUXや日本独特の内部統制などが差別化ポイントとなっています。
20以上のSaaSとの連携を実現

freeeやSmartHR、kintone、クラウドサインなどの国内のSaaSプロダクトとの連携を実現しています。
これらの連携ができることで、例えばSalesforceなどのCRMから、商談のフェーズを変更すれば、クラウドサインで契約書が送付され、商談データからfreeeの請求書を発行するといった、商談から請求までを自動連携できる仕組みを実現することができるようになっています。
連携のパターンを「レシピ」として提供

またSaaS間の連携は業種や職種によって一定パターン化されていく特性があるので、その連携パターンをレシピとして提供する体験も提供しています。
またこのレシピ自体は、国単位での独自な商習慣に対応する必要があるため、これも海外サービスとの差別性をだすひとつの要素にもなっています。
3つの強み

Anyflowがもつ強みは、海外サービスでは連携できていない国内版SaaSとの連携。国内の商習慣にあわせた最適な「連携レシピ」の提案。
また、これまでtoC向けサービスなどを手掛けてきAnyflowならではのUI/UXのこだわりが、現在利用企業に支持されている背景です。
海外では6800億円で買収される企業も

導入企業には、マクドナルド、ネットフリックスなどの大手企業が名を連ねているなどiPaaS領域のトップカンパニーであるMuleSoft。2018年にSalesforceに約6800億円で買収。
また国内でも利用者の多いZapierも、ARRは約50億円の規模感に成長しています。
SaaSが伸びればiPaaSも伸びる

現時点で国内のiPaaS自体の市場は決して大きくはないが、今後SaaS市場が伸びるについて必然的にニーズも増えていくのがiPaaS領域の特徴です。
先程紹介した海外iPaaSのように、SaaS自体が普及している米国においてはMuleSoftやZapierの存在感は大きい。今後こちらの図にあるように、国内もSaaSが普及することが予測されてること考えると、国内向けに特化したiPaaSのAnyflowの成長も強い期待感をもつことができます。
まずはPMF。SMB~Midでのシェアをとる。

iPaaSとしての価値を高めるためには不可欠でもある連携サービスの拡張が喫緊のテーマの一つ。そのうえでSMB~Midを中心とした企業でのシェアをとりにいくことを短期的にはフォーカスしています。
またSaaS利用が大企業にも浸透してきたタイミングを図り、大企業にも対応できるようプロダクト価値を高め、エンプラiPaaS領域も狙っています。
review

kiitok
上原
また、多くの企業が実際にプロダクトによって非効率な業務が効率化されることで、より本質的な課題にフォーカスできるというのは社会的意義も大きい。

Anyflow
坂本さん
このようなエンジニアリングの民主化を通じて、社会的な大きな課題に取り組める点が魅力的だと考えています。
次はプロダクトをつくっている開発チームを紹介
開発体制、開発文化や今後のチャレンジなどについて紹介していきます。
開発体制と技術スタック

1月まではファウンダー3名のみという体制でしたが、現在フロントエンドではフルコミットメンバー2人(うち1人デザイナー兼務)、副業メンバー2人、バックエンドはフルコミットメンバー3人、副業メンバー3人(うち一人インフラ)と体制を拡充。
20代後半のメンバーが多く比較的若いチームとなっています。
技術スタックは以下の通りで、全体的にモダンな技術選定が好印象です。
フロントエンドはTypeScriptとReactによるSPA
バックエンドはPython, Django
インフラはGKEで管理
スピード感を重視した開発体制

CEOの坂本さんをプロダクトオーナーとした2週間スプリントによるスクラム開発の体制。フロントエンド、バックエンドともチーム一丸となってチケットに取り組んでいます。
開発のスピード感を重視しており、レビューも副業メンバーのPRについてはしっかりレビューするが、フルコミットメンバーについては各々信頼ベースで任せている状況です。
その背景としては、技術力への信頼と、仮にバグがあったしてもすぐに対応するコミットメントの高さがあるためです。
またデプロイに関しても、PRがmergeされると自動でdeploy。リリースは毎日おこなっており、週次でnoteにプロダクトアップデートを出すというのをマイルストーンにしています。
【補足】
- 開発フロー : 2週間スプリントのアジャイル開発
- テスト : スピード重視なので現状はそこまでできていないが、今後はテスト基盤も作っていく
- CI/CD環境 : deployはPRのmergeで自動で行われる
- コードレビュー : 副業メンバーのPRに関してはしっかり確認、フルコミットメンバーの場合は各々の裁量でやる
- 企画決定フロー : プロダクトオーナーの坂本さんを中心に意思決定
- 技術的負債対応 : プロダクトのスピードを優先しているが、都度issueはチケットを切って、優先度の高いものは積極的に返済するようにしている
↓noteに公開されているプロダクトアップデート

課題が起きたときに悪いのは「人ではなく仕組み」

技術に固執せず、プロダクトの品質をいかに高めることができるかを重視しており、顧客体験を向上させるために積極的に関係者と議論するプロダクト志向の文化。
それ故に、課題をいかに解決するかに目を向けているため、なにか問題があっても犯人探しせずに、仕組みを問題化し、解決することが徹底されています。
実際に、毎週のKPTによる振り返りでしっかり問題点を洗い出し、ワーキングアグリーメントによる仕組み化を繰り返す体制がしっかりできていることで、現状のリモートワークにおける働き方も洗練されています。
その一例として、Slackのステータス管理の徹底や、リモート下において、いつ話しかけていいかわかりにくい問題についても、Slackでいきなり通話してOK(つながらなかった場合は忙しいということ)などのルールをつくるなどして、生産性を最大化するための仕組み化をしています。
また、情報の透明さを意識しており、スプリントの最後にオールハンズミーティングを行い、会社の方向性や競合に対する強み弱み、それに対する打ち手などといった戦略や、銀行残高などのシェアも他頻度でupdateしながら行っています。
↓KPTの初期はプロブレムの量が非常に多かったが、、

↓定期的な振り返り、改善の仕組み化によって、積み残しの課題が減少

【社内資料】ワーキングアグリーメントも公開
まだ決して規模が大きくないチームではありますが、いまの時点でもワーキングアグリーメントとして言語化し、働き方を共通化させています。
以下は部分的に抜粋いただいたものですが、リモート版の働き方などの定義も進めています。
↓ワーキングアグリーメント(働き方)

↓ワーキングアグリーメント(開発)

Zoomの会議でも小さい工夫
Zoom会議での相手の感情や表情が見えにく課題を解決するために、リアクション機能を活用して、👍のサインで相手への反応をリアクションするように心がけています。
プロダクトだけではなく、組織運営についても、小さい課題を小さく改善することがあらゆるシーンで実行されていることが伺えます。
↓zoomでの議論結果に👍や👋でリアクション

サービス開発の経験豊富なメンバー

創業メンバー3名が全員エンジニアのチーム。また新たにジョインしたメンバーも含めて、サイバーエージェントやセプテーニ、エキサイトなどの出身者が在籍し、サービス開発の経験豊富なメンバーが在籍しています。性格的にもホスピタリティが高く、相手に配慮しながらコミュニケーションできるメンバーが多い。
review

kiitok
上原
実際に今回の取材もZoomでインタビューさせてもらったが、リアクションの使い方が絶妙で、チームでの円滑なコミュニケーションの工夫が垣間見られた。

Anyflow
坂本さん
また新規にジョインしたエンジニアメンバーからも、ともすればソフトウェアつくることが目的化しがちだが、Anyflowのチームは事業をつくっているエンジニアが多いとフィードバックをもらっている点も特徴的だと感じています。
最後に、今もとめるポジションと成長機会を紹介
記載時点(20年5月)で募集中のポジションと期待値やそこで得られる機会について
いま求めているのは、このポジション

特に注力しているサーバーサイドエンジニアに任せたいissueは、ワークフローエンジンなどの基盤開発、各種連携先サービスの追加など。また中期的には、エンタープライズに向けたマルチテナント設計やプライバシー対応などのissueがあります。
様々なSaaSと連携・対応する必要があるため、より拡張性の高い設計や環境の構築が求められているので、その点でも高いレベルのエンジニアリング力が期待されています。
また現状では人数規模的にもマネジメント機能自体の課題はありませんが、将来的に副業やインターンなども含めて人数が増えてくることを想定したいときに、エンジニアマネジメント領域への関心がある人などはより相性が良さそう。
技術的な挑戦は

プロダクトの性質上、複雑なワークフローの設定・管理が重要となってきますが、既存のライブラリでは十分なパフォーマンスが実現できなかったため、独自にワークフローエンジンを開発しています。そのため既存のWeb開発とは異なる技術課題に取り組めるという面白みがあります。
またエンタープライズ向けSaaSとして今後成長していくにあたり、高度なセキュリティや堅牢性を実現していくための高度な設計・開発・運用力が求められ、経験としても身につけることができます。
「技術をブラックボックスにしたくない」、「Anyflowというサービスがなくなっても使えるという安心感」などの思想もあり、コア機能のOSS化を検討している。OSS活動に内部から関われる可能性がある点も魅力的です。
一緒に働きたい人は

現時点では一定レベル以上の即戦力なエンジニアを求めています。
スタンスとしては技術志向の方よりは、顧客志向、サービス志向のある顧客体験の向上や事業成長を目的化できるエンジニアがフィット感があります。
またSaaS経験がある、エンタープライズ向けプロダクトの開発経験などの現プロダクトとの相性がよい領域でのサービス開発経験は歓迎材料。
review

kiitok
上原
プロダクトとしても今後確実に拡大していくであろう大きなポテンシャルを持っている中で、初期のコアメンバーとして参加できる今がチャンス。

Anyflow
坂本さん
またサービスとして仮にサービスが潰れたとしても安心感持って使ってもらいたいといった目的からも、OSS化も検討しており、OSS開発に興味がある方にはチャレンジングなテーマになるのではないかと思います。
他にもこんなことを聞きました。
質問の一例
- 技術的なissueの話
- 中にいるエンジニアの話
- 給与や報酬面の話
などなど。「もうちょっと話を聞いてみたい」と思った方は、kiitokに登録を。kiitok担当アドバイザーが記事では紹介していない情報も含めてご紹介します。
kiitok review インタビュアー

株式会社トラックレコード CTO
上原 将之
京都大学経済学部卒業後、2010年にDeNAに入社。エブリスタ、MYCODE、歩いてオトク、AI創薬プロジェクトなど、様々な新規サービスの立ち上げや開発・運用に携わる。 サーバー、クライアント、iOS・Android、機械学習等、幅広い技術スタックでの開発を経験する。 その後フリーランスエンジニアを経て、kiitokを運営する株式会社トラックレコードを創業。