kiitokがハイクラスエンジニアにオススメしたい企業を紹介する「kiitokレビュー」
2018年11月に創業されたリーガルテック・カンパニー「MNTSQ」(以下モンテスキュー)を紹介します。
リーガルテックといっても幅は広いですが、モンテスキューは契約情報をアルゴリズムで解析し、それをもとに契約書のレビューや契約管理などの機能を有したプロダクトを大手法律事務所や大企業向けに提供しています。
モンテスキューの事業と開発体制、開発文化、ポジションや成長機会について解説していきます。
今回お話を伺ったのは

MNTSQ株式会社
Co-founder 取締役
安野 貴博さん
機械学習を専門とする東京大学工学部松尾研究室を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社。2016年未踏IPAスーパークリエイターに認定。PKSHA Technologyに参画後、特に自然言語処理を専門とするスピンアウトである株式会社BEDOREの立ち上げ、代表取締役に就任
今回インタビューに答えて頂いたのは取締役でアルゴリズムエンジニアの安野さんです。
インタビューはkiitok運営の株式会社トラックレコードCTOの上原が担当しました。
まずは会社とプロダクトについて紹介
会社の歴史とプロダクト、実績や今後の展開などについて紹介していきます。
2018年に創業し、現在は2つの事業を展開

2018年に弁護士でもある板谷氏が創業したモンテスキュー。2019年に法律事務所向けに法務デューディリジェンス業務のサポートプロダクトを提供開始し、実際に5大法律事務所の一つである長島・大野・常松法律事務所にて実証実験を経て本格導入されます。
その後資金調達を経て、大手企業向けのプロダクトの実証実験に取り組んでいます。
長島・大野・常松法律事務所とPKSHAからの8億円調達
両社からの資金調達により、リーガルナレッジの支援とPKSHAからの技術支援を受けて事業を展開することができています。両社の支援もあり、開発や検証も、より早く高いレベルで実行できています。

事業1.法律事務所向けプロダクト

法律事務所向けの法務デューディリジェンスを支援する事業。
M&Aなどにおいて、買収先企業がどのような契約をこれまで締結してきたのか?そこにどのようなリスクがあるのか?という「法務上のデューディリジェンス」を行う必要があります。
その際、買収先企業の契約書をすべてレビューする必要があるわけですが、その数は膨大です。そこで、人間の目だけではなく、機械によるダブルチェック的な価値を提供するのが、このプロダクトです。
長島・大野・常松法律事務所の「法務デューディリジェンス」の標準フローに組み込まれるなどの実績があります。
事業2.大手企業向けプロダクト

大企業の法務関連業務を変革する新規事業。
契約情報の解析、構造化、検索などのこれまでのプロダクト基盤を生かして、大手企業が抱えるペインに沿って、「見える化」・「ナレッジマネジメント」・「効率化」をキーワードにした価値を提供するプロダクト。
現在は、大手企業向けに実証実験中。
大手企業向け事業に注力
マーケットサイズの観点なども考慮し、法律事務所向けプロダクトは緩やかに成長させつつ、現在は大手企業向けのプロダクトに注力しています。
その先にあるストーリーとしては、法務関連領域での「契約情報」を入り口にして、企業課題の発見や解決への道筋を立てています。例えば「契約情報」を元に取引関係が見える化されることで、より良質な取引提案を行うことも可能となるかも知れません。
リーガルテックとしてだけではなく、B2B取引という巨大マーケット領域と解釈すると、大きな拡がりがみえてきます。

海外ではユニコーン入りしたリーガルテック企業も

デジタル化されていない領域が多くあり、近年投資額が急増しているリーガルテック領域。実際に海外ではユニコーン入りした企業もでてくるなど注目度は日に日に高まっています。
ユニコーン入りしたIcertisは、CLM(Cotract Lifecycle Management)と呼ばれる、契約書の締結・レビュー・管理などを総合的に支援するサービスを提供しており、マイクロソフトなどのエンタープライズカンパニーも顧客に抱えています。
一方で、海外も国内もまだまだ黎明期にあります。リーガルテックと一言でいってもその領域は広く、まだ正解例がなく、余白の大きな業界と言えます。
--リーガルテックカオスマップ--
契約内容のデータ化にフォーカス
このような市場環境におけるモンテスキューのユニークネスは、事業の着目点にあります。
モンテスキューは機械が「できること」と「できないこと」にいい意味で線引きをしています。契約書とは企業間の相対的な取引であり、ビジネスの文脈を踏まえた解釈が必要となります。逆に機械でできることにも限界があり、レビューを機械だけで完了させることに拘っていません。
むしろ、契約内容自体をデータ化し、構造的に整理し、検索できるような環境構築によって、法務担当者の業務支援することにフォーカスしてることがユニークな部分です。
また実際にアルゴリズムによって契約内容を判別するために、大量のデータが必要となりますが、その点も法律事務所との資本提携や、法律事務所向けのプロダクト展開などを通じて、データ獲得の基盤を構築している点も強みとなっています。

review

kiitok
上原
またプロダクト自体も実証実験フェーズであり、プロダクトの成長自体が自身の成長につながる点も魅力。

MNTSQ
安野さん
またエンタープライズ向けSaaSは、相手から求められるレベルの質が異なり、非常に難易度が高いです。グローバルでみても成功例は少なく、そのような難しい領域でのチャレンジできることも魅力的かと思います。
次はプロダクトをつくっている開発チームを紹介
開発体制、開発文化や今後のチャレンジなどについて紹介していきます。
開発体制と技術スタック

機械学習チーム、リーガルチーム、ソフトウェア・SREチームがコミュニケーションを密にして開発を進めています。機械学習モデルの開発については、機械学習チームとリーガルチームが連携し、学習データやアルゴリズムのフィードバックサイクルを継続的に回して精度向上に取り組んでいます。
技術選定は、スピード感を重視して既存ライブラリが充実しているものを選択してます。またオンプレとクラウドのハイブリッドで効率的に開発やdeployできるようにdocker-composeでコンテナ化も実施しています。
品質を担保する開発フロー

デプロイサイクルは2週間、タスク管理等はGitHubのIssueやProjectを活用しています。プロダクトは2ラインありますが、共通の機能が多いことと、インターフェースを十分に抽象化できているため、レポジトリは一つで対応してます。
扱うデータの機密性や、エンタープライズSaaSとしての高い対障害性を担保すべく、コードテストはかなりしっかり書いており、手動でテストが難しいファイル解析などはカバレッジを上げることで担保するようにしています。
また設計を非常に重視しており、後の負債となり得るものを事前に極力排除している点も特徴的です。
【補足】
- 開発は2週間サイクルのアジャイル開発
- テストはセキュリティや対障害性を考慮し、かなり厚めに対応している
- CI/CD環境はlint対応や、CodeBuildによる自動ビルド、Terraform管理など、全体の15%程度をつかって常に改善するようにしている
- プロダクト企画は弁護士である代表の板谷さんとデザインも担当する生谷さんが協働で設計。
- 技術的負債については、そもそも負債をつくらないような文化(設計重視、自動化など複利で効く施策の推奨)で開発している。
複利で効く施策に投資する長期目線の開発文化

まず特徴的なのは決して規模は大きくないものの透明性および将来的な組織のスケーラビリティ確保のためにドキュメント文化を根付かせています。APIはSwaggerベース、仕様はMarkdown管理、各種もオペレーションマニュアル化するなど徹底しています。
安野さんのnoteでも紹介されていますが、GitLabの思想や方法論などを参考に社内で応用させています。
これらの背景思想として、複利で効く施策には積極的に投資するというものがあり、テストや自動化といった取り組みに全体の15%程度は常にリソースを割くようにしている点も魅力的です。
また、よりユーザー目線で高品質なプロダクトにするため、2週間に1回全員でプロダクトを触ってロールプレイングをする会を設けています。全員がユーザー視点でプロダクトに対する解像度上げられるようにするなど、プロダクト志向の強さを伺わせます。

↑社内のドキュメントポータルのTOP。gitbookを使って最低限のスタイリングと検索を可能に

↑社内のフローなどもGitHubで管理
ボードメンバーが強い

アルゴリズムエンジニアとしては、東大松尾研からPKSHAでのキャリアを積んだ安野さんや、同じくPKSHA出身の堅山さん。またpaymoなどのプロダクト立ち上げ経験のあるPM兼デザイナーの生谷さんなど、聡明で優秀なメンバーが多く揃っている。
review

kiitok
上原
エンタープライズ向け×リーガル領域という側面からミスも許されないという点もあるが、品質のこだわりが非常に高い点も特徴的。
また一緒に働くメンバーが非常に優秀。本質的に思考し、かつ実行もやりきっているので、その点でもとても刺激的な環境と言える。

MNTSQ
安野さん
最後に、今もとめるポジションと成長機会を紹介
記載時点(20年4月)で募集中のポジションと期待値やそこで得られる機会について
いま求めているのは、このポジション

アルゴリズムエンジニアは、自然言語処理を利用して、契約書データの解析アルゴリズムを開発する役割となります。他社求人の場合は、プロジェクトベースで、複数の問題を解きにいくケースが多いですが、モンテスキューの場合は、自然言語処理一つの領域極めたい人に向いてます。
ソフトウェアエンジニアは法律事務所、大企業法務部が利用するWebプロダクトを開発する役割となります。Rails経験は必須で、耐障害性やセキュリティなどにおいて共通言語・認識で取り組めるエンジニアを求めています。B2B SaaSや大規模ソーシャルゲームなどのバックグラウンドがある人が向いています。
SREは、現状導入企業によってはオンプレ環境での実装を求められることも有り、オンプレ経験がある人が望ましい。また自社システムだけではなく、複数のクライアントの環境を経験し、それぞれの独自ポリシーに沿って作れるような経験を持っている人だとフィットが高くなります。
技術的な挑戦は

自然言語処理の一つの技術領域を極めたい人にとっては、いい意味で終わりがない世界なので、極めるだけ極める余地がある世界です。
ソフトウェアエンジニアにとっては、高いセキュリティや堅牢性を維持しつつ、大量のファイルやそれに紐づく複雑なメタデータの検索などをいかに高パフォーマンスで実現するかはチャレンジング。
SREにとっては、最初の正社員メンバーとして、データの取扱い上どうしてもオンプレ対応もせざるを得ない中で、いかに効率的なクラウドとオンプレのハイブリッド環境を構築し、エンタープライズ向けに高い対障害性を担保することに挑戦できます。
一緒に働きたい人は
現時点では少数精鋭でのフェーズということもあり一定レベル以上の即戦力なエンジニア。
またアルゴリズムチームやリーガルチームなど異文化のメンバーとコミュニケーションすることになるので、チームとして生産性を高められる人。
他にも、事業特性の観点からも品質にこだわり抜ける人であり、品質を重視することに抵抗感がない人の方がフィットします。


開発チームの雰囲気(オフィスワーク時の写真)
review

kiitok
上原
よりハイレベルな開発組織・開発環境で社会的インパクトの大きいプロダクトにチャレンジしたいミドル、シニア層におすすめ。

MNTSQ
安野さん
リーガルテックというまだ黎明期のドメインにおいて、ソフトウェアエンジニアの力で開拓してきたという経験を活かすには最適な環境だと考えています。
他にもこんなことを聞きました。
質問の一例
- 技術的なissueの話
- 中にいるエンジニアの話
- 給与や報酬面の話
などなど。「もうちょっと話を聞いてみたい」と思った方は、kiitokに登録を。kiitok担当アドバイザーが記事では紹介していない情報も含めてご紹介します。
kiitok review インタビュアー

株式会社トラックレコード CTO
上原 将之
京都大学経済学部卒業後、2010年にDeNAに入社。エブリスタ、MYCODE、歩いてオトク、AI創薬プロジェクトなど、様々な新規サービスの立ち上げや開発・運用に携わる。 サーバー、クライアント、iOS・Android、機械学習等、幅広い技術スタックでの開発を経験する。 その後フリーランスエンジニアを経て、kiitokを運営する株式会社トラックレコードを創業。