kiitokがハイクラスエンジニアにオススメしたい企業を紹介する「kiitokレビュー」
今回は、ボイスメディア事業を展開する「Voicy」を紹介します。
2016年にボイスメデイア「Voicy」を提供開始以降、順調にサービスを伸ばしています。TBSや日経新聞などの大手メディアを株主に迎え入れるなど、強固なパートナーシップも構築しています。
音声領域で新たなユーザー体験を生み出し、熱烈なファンと共にプロダクトを作り上げている会社です。
では、Voicyの事業と開発体制、開発文化、ポジションや成長機会について解説していきます。
今回お話を伺ったのは

株式会社Voicy
Engineering Manager
三上悟さん
美大でデザインを学んだ後、2社の受託開発、3社のスタートアップで、主にバックエンド側のエンジニアとして働く。2社のB2BSaaSのCTO/開発部長を務めた後、2020年1月にVoicyにジョイン。エンジニアリングマネージャーとしてVoicyのミッション達成の支援をおこなう。テクノロジーを利用して新しい音声体験を開発している。
今回インタビューに答えて頂いたのはEngineering Managerの三上さんです。
インタビューはkiitok運営の株式会社トラックレコードCTOの上原が担当しました。
まずは会社とプロダクトについて紹介
会社の歴史とプロダクト、実績や今後の展開などについて紹介していきます。
株式会社Voicy
売上:非公開
社員数:35名(2020年5月時点)
所在地:東京都渋谷区円山町20−1 新大宗円山ビル 8階
URL:https://corp.voicy.jp/
2016年にサービスリリース

2016年に創業したVoicy。厳選されたパーソナリティーによるアプリ、Web上での音声配信サービスです。昨年8.2億円の大型調達を実行しています。
出資先には、毎日放送、文化放送、日本経済新聞社、ABC、TBSや電通など4大マスメディアのビッグプレイヤーが参加しています。個人投資家にも経営経験豊富なメンバーが多く参加しており、強いチームをつくっています。
またサービスもローンチ後順調に推移しています。
リスナーのアクテイブ度を示す聴取時間や、パーソナリティーのアクテイブ度を示すコンテンツ数の両面の数値を伸ばしています。
↓Voicyの株主等↓

↓Voicyの成長軌跡↓

海外でも成長する音声市場

スマートスピーカーやワイヤレスイヤホンなどの普及により、近年音声配信サービスは世界的にも成長しています。
米国では、Spotifyが2019年に音声コンテンツ関連の投資として5億ドル(約550億円)*を投下すると宣言しています。
実際に米国では、人気の音声コンテンツが多数生まれています。例えば、クライム(犯罪)系の連続シリーズとして制作された「ダーティ・ジョン(Dirty John)」は、リリースから6週間で1,000万回以上、累計5,200万回以上がダウンロードされた音声コンテンツですが、その人気を受けてNetflixで映像化されています。
また中国では、上図で紹介しているように複数のサービスが大規模な音声プラットフォームとして成長しています。
厳選されたパーソナリティーを抱えるVoicy

Voicyのひとつの特徴として配信者を厳選している点にあります。通過率1%という水準での審査を実行しており、配信者の質を担保しています。
実際にタレントの西野亮廣さんやホリエモンなどの著名人から、日本経済新聞や文藝春秋といったメディアまで、チャンネルの幅広さは維持しつつも、質の高いコンテンツを提供しています。
「収録専用」と「配信専用」の2つのアプリを開発
またもう一つVoicyの特徴としては「収録」と「配信」2つのアプリにわけた開発をしています。これは、上で紹介した配信者を絞っていることも背景にありますが、それぞれに最適化された体験を実現するためです。それぞれにおける、体験面のこだわりを紹介します。
収録体験の最適解を追求

10分単位でしか収録できない仕掛けや、敢えて凝った編集をできない仕様にすることで配信のハードルを下げる工夫をしています。
また、PVだけではない、聴取時間など音声独自の指標もアナリティクスでフィードバックすることで、改善しやすい環境を創り出しています。
ストレスのない聴取体験

トップビューで好きなパーソナリティーが見つけやすいようなUI設計や、音声の聴取方式の改善などに加えて、一人ひとりのパーソナリティーの部屋に訪れているようなUI面での体験など、音声メディアのUXの最適解を常に追求しつづけています。
短期的には、エンゲージメントとマネタイズの価値を強化

直近1年単位での戦略としては、さらなるリスナーとパーソナリティーへの価値提供にあります。具体的には以下3つのことにフォーカスしています。
著名人、メディアをはじめとしたパーソナリティーの獲得
パーソナリティーとファンのエンゲージメントが高まるような体験の提供
スポンサー、課金機能など、パーソナリティーへの収益還元の仕組み
音声メディアの先にある2つのチャレンジ
中長期的にVoicyは音声メディアの先に音声プラットフォーム、音声インフラとしての構想を視野に入れています。五感の耳を活用したコミュニケーションにはイノベーションの余地が多く存在します。
その余白が非常に多い領域へと果敢にチャレンジしています。
例えるなら音声版のNetflix

まず1つ目のチャレンジは、プラットフォームとしてのポジションです。いわゆるNetflixのように自社でも開発したコンテンツを配信しつつ、他社のコンテンツや個人のコンテンツなども含めたプラットフォームです。
ここではVoicyもメディアとしてのOne of themの存在になり、配信者への収益還元、データドリブンな提案体験なども含めた、最適な聴取体験を実現します。
例えるなら音声版のGoogle

2つ目のチャレンジは、インフラとしてのチャレンジです。いわゆるGoogleのようにあらゆる音声データを収集し、整理した上でスマートフォン以外の自動車、スマートホーム、公共空間のスピーカーなどに最適に配信する状態を指しています。
現実化までには一定の時間がかかることは間違い有りません。ですが、このように非常に大きな世界を描き、そこに向かい前進をしている点が非常に魅力的です。
review

kiitok
上原
その中で音声メディアとして成長しつつも、さらにその先で、音声を中心としたスマートフォンの次の新しい体験やインフラを生み出そうとするビジョンは、技術的にもユーザー体験的にも非常にチャレンジングかつビジネス的にもポテンシャルが大きく魅力的です。

Voicy
三上さん
例えば、話すのが苦手な人に対して、どうやってやると話しやすくなるのか。耳であれば、どうすると聞きやすくなるのか?などの領域にトライすることができます。
Airpodsのノイズキャンセリングのように、テクノロジーをつかって、人間の能力をもうちょっと高めることができる、そういうことにチャレンジできる環境です。
次はプロダクトをつくっている開発チームを紹介
開発体制、開発文化や今後のチャレンジなどについて紹介していきます。
開発体制と技術スタック

利用技術に関しては、立ち上げ当初のものからはリプレース済みであり、モダンな技術選定は好印象です。
フロントエンドはTypeScriptとAngular
バックエンドは、もともとJavaだったが、リプレースしてGoがメインに、また音声処理や分析などでPythonも利用している
インフラはAWSのEKSを中心に構成
iOSはSwift, AndroidはKotlin
開発チームはオールラウンダーの共同創業者の窪田さん、バックエンド5名(うち1名SREも兼任)、フロントエンド2名、iOS1名で、職能毎にチームが別れています。
アプリ開発は現在はベトナムにオフショアで外注しているが、今後開発のさらなるスピードアップを目的に内製化を目指しています。

Voicyの開発フロー

Asanaを利用したカンバン形式でのアジャイル開発を行っています。
新機能企画はCEOの緒方さんとPdMやデザイナー、エンジニアが1ヶ月程度十分に時間をかけてユーザー体験をどうすべきか徹底議論し、なぜそうすべきなのか背景・目的・最終成果物をドキュメント化し、メンバー全員の目線を揃えるようにしています。
またパフォーマンス改善などはエンジニア主導で要件、優先度を定め開発しています。
【補足】
- 開発フロー : Asanaを利用したカンバン形式でのアジャイル開発
- テスト : テストコードは部分的に対応、QAはベトナムと社内のPMで受入テストを実施
- CI/CD環境 : CIはCircleCiやBitriseを利用、deployは自動化されている
- コードレビュー : メンバー間の相互レビュー
- 企画決定フロー : デザイナー含め、UI/UXの検討にしっかり時間をかけるのは特徴的
- 技術的負債対応 : 適宜対応している
ユーザーの熱い声と徹底した議論を重視する文化

toCサービスであることや、サービスの歴史もあり、熱量の高いファンが存在するサービスです。Voicyとしてリアルな場でユーザーとコンタクトするファンイベントを開催するなどのファンとのつながりを重視しています。
実際に開発プロセスにおいても、ユーザーのフィードバックやリクエストなどをもとにした開発が行われています。またそのようなフィードバックを元に、体験ドリブン、デザインドリブンでの機能開発が行われています。
デザイナーとエンジニアの距離感も近く、会社のいたるところにあるホワイトボードを使いながらクイックに議論がうまれるのもVoicyの特徴的な部分です。
↓Twitterでのユーザーフィードバック↓

↓ホワイトボードでのMTG風景↓

社内ハッカソンや社内限定の音声イベント
社内、社外をとわずアウトプットを推奨し、支援している点も特徴的です。
もとより、モノをつくるのが好きなメンバーが多いこともあり、社内ハッカソン「ボイソン」ではPM、デザイナー、エンジニアがそれぞれ企画を持ち寄って参加しています。
音声でお料理ガイドを作ったり、自作のスマートスピーカーを作った開発者もいます。
またデザイナー、エンジニア共同で技術書典にて、音声領域の技術をまとめた「Voicy Tech Story」を頒布するなど、アウトプット活動も非常に活発です。この書籍では音声に特化したUI/UXなどの新たなユーザー体験についてもこだわって書かれています。
↓当時の詳しい様子↓
Voicyエンジニアが技術書典で「Voicy Tech Story」を頒布します
↓社内ハッカソン↓

↓社内の技術勉強会↓

review

kiitok
上原
そういったプロダクトを大きな裁量を持った上で、コミュニティから得られたフィードバックを元に改善に関わるミッションは、非常にチャレンジングかつ貢献の余地も大きい点が魅力的です。

Voicy
三上さん
また話が好きな人も多く、議論もかなり活発です。設計に関わる話も、スタンディングスペースとかで議論してサクサク決まることも多いです。
最後に、今もとめるポジションと成長機会を紹介
記載時点(2020年6月)で募集中のポジションと期待値やそこで得られる機会について
いま求めているのは、このポジション

現在特に注力しているポジションは、内製のアプリ開発(iOS/Android)チームのリーダーです。
現状は、共同創業者の窪田さんがオフショアの開発チームと協働ですすめています。今後将来的に内製の検討を進める上で、このチームを牽引できる人を募集しています。
ネイテイブアプリの開発経験や、プロダクトマネージャーなどと連携したチーム開発の経験がある方を求めています。
得られる成長機会は

リーダーとして、設計からリリースまで技術観点はもちろん、チームの体制(完全に内製化するか、オフショア継続するか)も含めて、大きな裁量を持って働くことができます。
また先程も紹介しましたが、強力なファンコミュニティが存在しているのが特徴的で、そのようなユーザーからフィードバックをダイレクトに受けつつプロダクト開発を行える環境は、プロダクト志向のエンジニアにとって非常に魅力的です。
最後に、将来的なキャリアパスとしても、テックリードとしてのキャリアに限らず、エンジニア力をベースとしたプロダクトマネージャーやエンジニアリングマネージャーなどの幅広い成長機会を設けています。
↓Voicyのエンジニアキャリアパス

一緒に働きたい人は

現時点では一定レベル以上の即戦力クラス。またスタンスとしては技術志向の方よりは、サービスドリブンでプロダクトを成長させられるエンジニアを求めています。
またサービス立ち上げ期への興味・耐性やチームとのコミュニケーションができる人がフィット感があります。
またエンジニアチームについての説明資料も用意されてますので、こちらもぜひご覧ください。
review

kiitok
上原

Voicy
三上さん
またファンの方のコメントでも「生活の一部になっている」「日課になっている」など、ユーザーのライフスタイルにプロダクトが組み込まれてきており、非常にやりがいも大きいです。
他にもこんなことを聞きました。
質問の一例
- 開発フローの話
- 社内イベント・雰囲気の話
- 社内の目標の考え方
などなど。「もうちょっと話を聞いてみたい」と思った方は、kiitokに登録を。kiitok担当アドバイザーが記事では紹介していない情報も含めてご紹介します。
kiitok review インタビュアー

株式会社トラックレコード CTO
上原 将之
京都大学経済学部卒業後、2010年にDeNAに入社。エブリスタ、MYCODE、歩いてオトク、AI創薬プロジェクトなど、様々な新規サービスの立ち上げや開発・運用に携わる。 サーバー、クライアント、iOS・Android、機械学習等、幅広い技術スタックでの開発を経験する。 その後フリーランスエンジニアを経て、kiitokを運営する株式会社トラックレコードを創業。