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組織の足りないピースを埋める。空 CPO 田仲紘典が語る成長のヒント

公開

ホテルや旅館の価格設定ツール「MagicPrice」を開発する株式会社空で、取締役兼CPOを務める田仲紘典さん。大学でネットワークセキュリティを学び、株式会社ヤフーに入社。サーバー運用や社内のシステム開発を担った後、「一人目の社員」として空にジョインしました。

若手時代からメインの業務と並行して新卒教育に携わるなど、自らの活躍できる領域を広げてきた田仲さん。与えられた役割に安住しない姿勢はどのように形づくられたのか。その原点を伺いました。

プロフィール| 田仲 紘典

立命館大学大学院在学中にパケットによるDoS攻撃検知システム(IDS)を開発・研究し、卒業後ヤフー 株式会社に入社。
主にアドテクのインフラエンジニアとして活動。その他に社内システムの開発・保守や新卒研修のメンター、次世代リーダー育成Yahoo!アカデミア、副業による技術サポート経験などをヤフー 在職中に経験。
その後、株式会社空に、ホテル向け料金設定サービス「MagicPrice」の立ち上げ期からエンジニアとして携る。2016年6月、取締役として参画。
現在は、デザイナー・エンジニア・データサイエンティストのプロダクト責任者(Chief Production Officer)。

「インターネットの可能性」に心惹かれた浪人時代

—プログラミングと出会ったきっかけを教えてください。

浪人時代に友人に頼まれてホームページを作成したのがきっかけでした。当時、浪人生も加入できるイベントサークルに所属していて、ホームページをリニューアルしたいと話が盛り上がったんです。当時は簡単に制作できるツールも少なく、プログラミングをできるメンバーもいなかったので、「じゃあ僕がやってみるか」と。

軽い気持ちで始めたのですが、すっかりハマってしまいました。昔から、プラモデルや模型を組み立てるのが好きで、それと似た面白さを感じたんです。それまで建築学部を志望していたのですが、あまりにプログラミングが面白かったので、情報理工学部へ進路変更をしたほどです(笑)。

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—そこまで夢中になったんですね!

インターネットの可能性にもワクワクしていたのだと思います。僕が浪人生だったのは2005年で、まだホームページを持っているサークルが珍しかった。イベント情報を公開するだけで沢山の人から問い合わせが届き、活動の幅が広がっていきました。「インターネットには人と人をつなぐ力がある」と感じましたし、その仕組みを深く知りたい気持ちも芽生えました。

—進学した大学では何を学んでいたんですか?

大学、大学院ともにネットワークセキュリティを専攻しました。ネットワークの設計はホームページ制作とは異なり、実行されたコードがどう反映されたのかを確認しにくい。ネットワークの構造を緻密に把握し、具現化する力が求められます。難易度も高く、学部内でも専攻する人が少ない分野でした。

けれど、今後インターネットが発展していくなかで、不可欠な分野になると確信していました。重要であるにもかかわらず携わりたい人が圧倒的に少ない。これは自らの希少価値を高めるチャンスだとも思っていました。
足りないピースを埋める役割を担いたい

—それから新卒でヤフー株式会社に入社した理由を教えてください。

僕が就活をしていた2011年ごろは、まだGoogleが国内でそこまで普及しておらず、検索からニュースまで「インターネットといえばヤフー」の時代です。圧倒的に多くの人が利用するプラットフォームでネットワークセキュリティの技術を磨きたいと考えていました。

—入社後はどのような仕事をしていたんですか?

インフラエンジニアとして配属され、主にデータベースの保守運営やアラート検知のための可視化ツールの開発、サーバーのリリースなどを担当しました。

—ネットワークセキュリティとは異なる分野に携わったんですね。配属に不満はありませんでしたか?

あまり抵抗はなかったですね。技術的には面白い挑戦ができて満足していました。

それに、僕は基本的に組織のなかで埋まっていないピースを埋めたいタイプなんです。浪人時代にホームページを制作したのも同じで。誰もやらないけど大切なことを拾っていく感じ。そのチャレンジを通して組織にも貢献できるし、個人としても新たな領域に成長するチャンスが得られる。

ーヤフーのなかで「誰もやらないなら」と取り組んだことはありますか?

新卒エンジニアの教育ですね。それまでヤフーには全社のエンジニア研修があるだけで、部署別の研修がなかった。そのため、どの部署でどの上司の下につくかが成長速度を左右してしまったんです。新卒時代からそこに違和感を抱いていました。

そこで、2年目に所属していた部署のメンバーの協力を得ながら、新卒向けの研修プログラムを立ち上げました。新卒社員の成長速度を高めるには、技術の習得も大切ですが、自らがその組織で成し遂げたいことを見つけてもらう必要がある。そのために30人の新入社員と月1回30分間の1on1を行っていました。

ーそれをメインの業務と並行して行うのは大変じゃなかったですか?

むしろ新鮮で楽しかったです。未経験の分野を短期間でインプットして、実践を通して理解を深めるのが好きなんだと思います。新人教育以外にもサブプロジェクトとして、ChefやJenkinsなど、一定の知識量が必要なツールの導入も積極的に行なっていました。
期待が不安を上回った。空への入社を決意した理由

ーヤフーで幅広く活躍していたなか空に転職するきっかけは何だったのでしょう?

ヤフー時代に同僚だった松村(空 代表取締役の松村大貴氏)に「事業を手伝ってほしい」と声をかけられたんです。当初彼は、今のようにホテルや旅館の価格を最適化するサービスではなく、航空券の最適価格を自動算出するサービスを考案していました。面白いアイデアだなと思っていたので、週に一度副業で手伝い始めたんです。

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—そこからフルコミットになった?

そうですね。最初は転職をするつもりはなかったんです。けれど、ある日松村がとあるピッチコンテストで優勝して、「今やるしかない」と背中を押された気がしました。せっかくインターネットの世界にいるのだから、成長可能性のあるプロダクトに全力を注ぎ、広く社会に浸透する姿を見てみたい。そう思って、優勝の知らせを受けた翌日に退職願を出しました。

—大手企業からスタートアップへの転職に不安はなかったのでしょうか?

給与や待遇にまつわる懸念はゼロではありませんでした。けれど、インターネットの可能性にワクワクしたときのような胸が踊る感覚がありました。このチャンスを逃したくない気持ちが生活面での不安に勝っていました

たった一人での開発、成長が実感できないもどかしさ

—空に入社後はどのように仕事をしていたんですか?

最初の半年くらいは「MagicPrice」の開発をほぼ一人で担当していました。業務委託で関わってくれているエンジニアはいましたが、正社員は僕だけでした。フロントエンドやバックエンドまで一通り経験しましたね。相談できる人が社内にいないので、書籍を読んだりヤフー時代の同僚に聞いたりして開発を進めていきました。

—大企業からその環境にいきなり変わるのは大変そうですね。

最初の頃はむしろ新鮮でやりがいがありました。元々ゼロから勉強するのが好きなので、まったく苦ではなかったです。

辛くなってきたのは半年後、MagicPriceの開発が終わってベータ版を開発している頃ですね。ひたすら一人でプロダクトのローンチに向けて仮説検証を繰り返すなかで、仲間がいない辛さを痛感しました。

—それは相談する相手がいないからでしょうか?

相談相手がいない辛さもありますが、成長実感を得られなかったのが一番辛かったです。

それまでは組織の状況をみて、どのスキルが最もレバレッジが効くかを判断し、自分のスキルや役割を最適化していました。その過程で組織からフィードバックを得て、成長しているか否かを知ることができる。それがなくなったので成長しているか不安で仕方なかった。このままで良いのかと悶々とする日々が続きました。

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—どのように乗り越えていったのでしょうか?

幸運なことにプロダクトが成長し、新しい人が入社してくれるにつれて不安は解消していきました。

今は会社全体で28人、プロダクト開発メンバーで11人の組織になりました。今もMagicPriceのバックエンド開発は担当していますが、メンバーの採用や教育など、マネジメントを考える時間も増えています。自分の担うべき役割が常に変わるので、それに対応するなかで成長実感が得られています。

1on1は個の力を発揮するための障壁を取り除く場

—今後はどのようなエンジニア組織をつくっていきたいですか?

フロントエンドやバックエンドも担えるマルチエンジニアが集う組織を目指しています。エンジニアとして、一つの分野を突き詰めるのも素晴らしいですが、複数の分野を横断するからこそ飽きずに学び続けられたり、柔軟に課題解決ができたりする。空のようなスタートアップであれば尚更です。

—そのためにどのような取り組みをしているのでしょうか?

メンバーが学んだことをシェアするための勉強会を開いています。旅行業界から機械学習まで、幅広いトピックを横断して扱います。異なる専門領域に触れる機会は積極的につくっていきたいですね。他にはヤフー時代と同様、メンバーとの1on1を大切にしています。

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空で開かれている勉強会の様子

—1on1で気をつけていることはありますか?

その人が目標に向かって力を発揮するために、何が障壁になっているのかを探すよう心がけています。組織のなかで人が力を発揮できないのは決して能力の問題ではない。そもそも組織構造に問題があったり、自信が持てず踏み出せなかったりするケースがほとんどです。

その障壁がどこにあるのかを見つけ、無くしていけば、自然と一人ひとりがベストなパフォーマンスを出せるはずですから。

もう一つは、僕から積極的に自己開示すること。相手の話を聞くだけでなく、僕がどういう人間で、どう考えているのか、良い部分も悪い部分も含め共有する。そうすると相手と信頼関係を築きやすくなるんです。

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—kiitokのメンタリングなど社外の人でもその姿勢は変わりませんか?

社内でも社外でも同じですね。僕が介在することで相手がチャレンジする障壁をなるべく早く取り除けたら嬉しい。迷っている暇がないくらい仕事ができる期間って短いですから。

—ありがとうございました!

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