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「SHOWROOMはもうやめろ」からの快進撃を経て、CTO佐々木康伸は“打席に立てる組織”を目指す

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SHOWROOM株式会社のCTOを務める佐々木康伸さん。ITベンダー企業からキャリアをスタートさせた後、DeNAで音楽配信サービスやソーシャルゲームの開発に従事。2013年にSHOWROOM株式会社 代表取締役社長の前田裕二氏とともにSHOWROOMを立ち上げました。

ゼロからプロダクトを育て上げ、ライブ配信という一つの市場を切り拓く。その経験は佐々木さんのキャリア観にどのような影響を与えたのか、そして今はどのような目標を見据えているのか。エンジニアになったきっかけまで遡り、話を聞きました。

プロフィール| 佐々木 康伸

ITベンダー企業を経て 2008年に株式会社モンスター・ラボに入社。自社の音楽配信サービスやソーシャルアプリを開発する。2010年DeNAに入社後、Mobageの開発・運用や、音楽アプリGroovyの開発に携わる。2013年に代表の前田裕二氏とSHOWROOMのサービス立ち上げ、2015年にDeNAからSHOWROOM株式会社として独立後、CTO、バックオフィス、新規事業、HR全般を担当し、現在はプロダクト開発および、XR・メディア等、新規事業開発の責任者を務める。

「技術×エンタメ」という軸との出会い

—まずはプログラミングとの出会いについて教えてください。

大学でメディアアートを学んでいた頃、作品づくりでプログラミングが必要になったんです。周囲に聞ける人もいなかったので独学で勉強を始めました。

—そこからプログラミングに興味を持つように?

プログラミング自体というより、プログラミングを手段に表現の幅を広げられるのが楽しかったです。中高生の頃から音楽が好きだったので、オンラインでセッションができるようなアプリを開発したり、水槽を泳ぐ魚の動きに合わせて音を奏でる楽器を制作したり。

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—プログラミングによる表現に関心がありながら、卒業後にITベンダーを選んだのはなぜだったのでしょう?

就職活動を始めた頃はゲーム会社を受けていたのですが、なかなか志望する会社から内定をもらえなかったんです。選考のなかで技術力を高める必要性を痛感しました。

そこで、まずはプログラミングを基礎から叩き込める環境に進もうと、研修制度の充実しているITベンダーに就職しました。半年ほど研修が用意されていて、基礎から学べるありがたい環境でした。

—その後、1年ほどで転職をしていますが、何がきっかけだったのでしょう?

研修後、建築系の業務システムの開発に携わったのですが、使われている技術も古く、規模の大きいシステムなので、気軽にバージョンアップもできない。社内の技術的なレベルが、業界のトレンドに追いつけていない現状に焦りを感じました

その上、周りには幼い頃からプログラミングを学んできたエンジニアがいる。彼らとの技術力の差を埋めるのは簡単ではありません。
ただ、社内で評価されている人のなかには、技術とプラスαの知識があり、その掛け合わせで価値を発揮している人もいました。それなら、僕も技術と何か別の強みがあれば市場で評価されるはず。そう考え、大好きな音楽やゲームなどエンタメに関わる仕事を探し始めました。

—そこで2社目のモンスター・ラボを選んだのはなぜだったんですか?

事業内容を知って、これは「俺の出番だ」と思ったんです(笑)当時、モンスター・ラボはインディーズアーティスト向けに音楽配信サービスを展開していました。僕自身、中高生の頃からバンドでギターを演奏していたこともあり、音楽×インターネットでアーティストを応援する姿勢に強く共感したんです。

売上へのこだわりを叩き込まれたDeNA時代

—モンスター・ラボではどのような仕事をしていたんですか?

主に音楽配信サービスやソーシャルアプリの開発に携わりました。大好きな音楽に関わるプロダクトに携わり、ユーザーから反応を得られるのは嬉しかったです。AjaxやFlexなど、当時の先端技術も取り入れていて、技術的にもチャレンジしがいのある環境でした。

—エンタメに携わりながら技術も磨ける、理想的な環境だったんですね。

ただ、しばらくして音楽配信サービスの売上が伸び悩んでしまった。サービスを改善するアイディアは無限に浮かぶのに、売上を高めるための戦略は立てられない。やりたいことを続けられない悔しさを感じました。同時に、ちゃんと売上を立て、事業をグロースさせる手法を学ばなければと考えるようになりました。

—そこから転職を意識し始めたんですか?

そうですね。ちょうどその頃、DeNAのソーシャルゲーム事業が急成長していたんです。彼らの元で経験を積めば、事業をグロースさせる手法を学べるかもしれない。そう思っていた頃、偶然とある転職サービスを通してDeNAの面接に誘われたんです。迷わず面接に申し込み、内定をもらいました。

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—実際にDeNAに入社してみていかがでしたか?

まず、売上に対しては想像の何倍もシビアでした。入社後、Mobage内のゲームの開発運用に携わり、2、3人のチームでゲームをリリースしたんです。かなり高い売上目標があり、それには届かず3ヶ月で閉鎖が決まりました。それが当たり前だったので、開発運用にまつわる施策を打つ際も「売上とインパクトはどれくらいあるのか」を考え抜く癖がついたように思います。

—技術的に挑戦だったことはありますか?

前職とはトラフィックの規模も桁違いで、急成長するプロダクトを支えるためにどのように設計するか、最初は相当つまずきました。試行錯誤を続けるなかで、アプリ単位ではなくインフラ構成まで踏まえてコーディングする力が身についたように思います。

失敗だらけの3ヶ月の先にあった“市場創造の瞬間”

—そこから、どのような経緯でSHOWROOMの立ち上げに加わったのでしょうか?

2013年の春頃、前田(現・SHOWROOM株式会社 代表取締役社長)が社内で新規事業を立ち上げるため、エンジニアを探していたんです。「タフで泥臭いエンジニア」というオーダーがあり、僕に声がかかりました。すぐ対面で話してジョインを決め、翌日にはプロジェクトが始動しました。

—その時点で事業案は決まっていたんですか?

前田から聞かされたのは「中国で流行っているライブ配信を日本でローカライズする」という構想のみ。でも直感的に「面白そうだな」と感じたのを覚えています。始動してからは、前田と僕、デザイナーとの3人で、1週間くらい夜中までコンセプトを練りました。

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—コンセプトが定まってからはどのように進めていったのですか?

前田が営業、僕がプロダクト開発全般を担当していました。とはいえ人手は足りませんから、CSからバックオフィスとの連携、社内調整、動画を撮影するスタジオの設営まで、何でもやる。

前田も僕も、ライブ配信にまつわる知識が皆無だったので、最初のテスト配信で大失敗、その後も録音機材のトラブルが相次ぎました。その上、3ヶ月くらいは売上も軌道に乗らず、社内でも「もうやめろ」と散々言われる。かなり泥臭い日々でした(笑)

—そこから、どのように巻き返していったんですか?

立ち上げから3ヶ月後、SHOWROOM内で得たギフトのランキングで、上位の配信者だけが出演できる配信イベントを企画したんです。そのイベントを機に売上が一気に跳ね上がりました。

イベントでは、事務所に所属するようなプロのアイドルだけでなく、一般の配信者もギフトの数に応じて参加するチャンスを得られます。すると、配信イベントの期間内は、アプリ内で「絶対勝てる、頑張ろう」と配信者とファンの間に熱いやりとりが生まれる。感極まり涙を流している配信者もいました。

応援する側とされる側の熱量に圧倒されるとともに、それまで見たことのない体験が生まれている実感が得られました。その体験は今もSHOWROOMを支える価値になっています。今のライブ配信事業も基本的には近しい体験を提供している。スキームは同じなんですよね。振り返って、このイベントが日本においてライブ配信市場が生まれた瞬間だったなと思います。

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—「やめろ」と言われる状況を乗り越えられたのはなぜだったのでしょう?

前田と僕が何の忖度もなく言いたいことを言える関係だったことです。辛い時期もありましたが、純粋にプロダクトを良くするための議論に集中し、「あれをやろう」「これをやろう」と打ち手を次々に出し合えた。前田とは出身地や好きなアーティストも同じで「これ面白い」を言語化せずとも分かり合えていたんです。すでに共通言語があったからこそ、最初の3ヶ月を全力で走り抜けられたのかもしれません。

エンジニアが打席に立てる組織を目指して

—その後、SHOWROOMは急成長を遂げ、2015年にはDeNAから分社化。佐々木さんはCTOに就任しました。CTOとしてどのような役割を担っているのでしょうか?

経営を踏まえた技術戦略や技術選定、エンジニアの組織作りですね。当初は、開発チームのマネジメント全般も担っていましたが、メンバーも増え、徐々に開発部長たちに権限移譲を進めています。今は定例会議で進捗確認や状況把握をする程度です。

—立ち上げ時から育ててきたプロダクトに対して自ら手を加えたくなることはないですか?

正直、少しあります(笑)でも、SHOWROOM「ライブ配信」という新たな市場を切り拓いた経験を通して、自ら手を動かすことだけがエンジニアという仕事の面白さじゃないと気づきました

目の前のプロダクトをいかに良くするかだけでなく、経営視点でプロダクトの成長を思考し、ゼロから市場を創造する。その興奮は僕にとって何事にも代えがたいものでした。なので、今は市場創造ができる組織づくりに関心がありますし、それが僕の使命だとも思っています。

—市場を創造するために、どのような組織が必要だと考えていますか?

誰もが打席に立てる、チャレンジし続けられる組織ですね。前田や周囲の優秀な起業家を間近で見ていると、どんな人でも市場になかったものを生み出すときは、明確な答えを持っているわけではないと気づかされました。圧倒的なスーパーマンのように見えても、裏では泥臭く打席に立っている。なので、SHOWROOMのメンバーには積極的に失敗して、ヒットを打つ確率を上げてほしい

なかでも、エンジニアが打席に立つ機会を増やしたいです。ゼロから市場を創造し、「ユニコーン」と呼ばれる企業の多くは創業者がエンジニア出身。海外は特にそうですよね。日本のエンジニアにも事業に関わる人が増えてほしいと思います。

そのために、SHOWROOMではエンジニアを対象に、ビジョンに合致していれば業務時間の20%は新規事業など自由に使ってよい制度を設けました。副業も積極的に応援しますし、僕が社外の事業にアドバイスをすることもあります。

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—そうしたアドバイスを送る際など、社内でメンバーとコミュニケーションを取る上で意識していることはありますか?

事業にしてもキャリアにしても、絶対的な答えはないので「僕だったらこうする」と提案し、相手の思考を促すよう心がけています。

また、メンバーと1on1をする際は、「あの人が褒めていたよ」と伝えたり、「こういう新しい事業がある」とワクワクする提案をしたり。相手が前向きに思考できるよう意識しています。もちろん必要であれば悩みや課題にも耳を傾けますが、ネガティブな方向に引っ張られすぎると、根本的な課題の解決から遠ざかってしまう気がするんです。

—今後、kiitokでもメンタリングをしていただくにあたり、どのような人の力になりたいと考えていますか?

新たなプロダクトや事業に挑戦したいエンジニアの力になりたいです。僕が「悔しい」と感じるような優れたプロダクトを応援できたら最高ですね。技術以外に事業をいかに伸ばしていくかという視点でも参考になる話ができればと考えています。

—ありがとうございました!

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